歯科恐怖症チェックリスト|セルフチェックと結果の見方

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歯科治療が怖い・苦手な方へ

歯科恐怖症チェックリスト|セルフチェックと結果の見方

歯科恐怖症チェックリスト|セルフチェックと結果の見方

歯医者が苦手なだけなのか、それとも歯科恐怖症と呼ばれる状態なのか。この違いが気になって調べている方は多いと思います。

苦手な人は大勢いる。自分もそのひとりというだけかもしれない。でも予約の電話をかけようとして手が止まるのは、単なる苦手とは違う気もする。こうした迷いは、相談してよいのかどうかの判断がつかないことから生まれます。

この記事では、ご自身の状態を確認するためのチェック項目をご用意しました。心の反応、体の反応、行動への影響という3つの観点から確認していただき、その結果をどう受け止め、どう活かせばよいのかをお伝えします。

なお、これは医学的な診断を行うものではありません。ご自身の状態を整理し、歯科医院に伝えやすくするための手がかりとしてお使いください。

歯科恐怖症のセルフチェック

以下の3つのグループについて、当てはまる項目を確認してみてください。

心の反応についてのチェック

歯科医院を予約することを考えると強い不安を感じる。

予約日が近づくと落ち着かなくなる、あるいは眠れなくなる。

歯科医院の待合室にいる間、不安が高まっていく。

治療中に何をされているかわからないことが強い不安につながる。

歯科医院のことを考えると、過去のつらい経験が思い出される。

治療を受けている自分を想像するだけで気分が悪くなる。

歯科医院で叱られるのではないかと考えてしまう。

体の反応についてのチェック

歯科医院を考えると、動悸がする、汗が出る、手が震える。

診療台に座ると呼吸が浅くなる、息苦しさを感じる。

治療中に体に力が入り続けてしまう。

器具が口に入ると吐き気を感じる。

削る音や振動で体が緊張する、鳥肌が立つ。

治療中に気分が悪くなったこと、意識が遠のいたことがある。

歯科医院の匂いを嗅ぐだけで体が反応する。

行動への影響についてのチェック

痛みや違和感があるのに受診できていない状態が続いている。

予約を取ったあとにキャンセルしたことが複数回ある。

治療の途中で通院をやめてしまったことがある。

歯科医院に行かずに済む方法を探してしまう。

最後に受診してから年単位で時間が空いている。

歯科医院の前まで行って引き返したことがある。

家族や周囲から受診を勧められても踏み出せない。

チェック結果の見方

数だけで判断しないでください

当てはまる項目が多いほど恐怖の程度が強い、という単純な関係ではありません。

たとえば、体の反応の項目に2つしか当てはまらなくても、その反応が非常に強く出る方がいます。逆に、心の反応に多く当てはまっても、受診自体はできている方もいます。

重要なのは数ではなく、日常生活や健康に影響が出ているかどうかです。

特に重要な項目

3つのグループのうち、行動への影響についての項目に当てはまるものがある場合は、注意して受け止めてください。

痛みがあるのに受診できない、予約のキャンセルを繰り返す、治療が中断している。これらは、不安が実際の行動を妨げている状態を示しています。

苦手という感覚は多くの方が持っていますが、それによって必要な受診ができなくなっているのであれば、対応を検討する段階に入っていると考えられます。

体の反応が出ている場合

動悸、発汗、震え、吐き気、息苦しさといった身体的な変化を伴う場合、気持ちの問題として片づけることは適切ではありません。

これらは自分の意思でコントロールできるものではなく、恐怖に対する体の反応として生じています。我慢や気合いでどうにかなるものではないという前提で、対応を考える必要があります。

当てはまる項目が少なかった場合

当てはまる項目が少なくても、受診への抵抗を感じているのであれば、それを軽視する必要はありません。

このチェックはあくまで整理のための手がかりです。項目に入っていない形で困りごとを抱えている方もいらっしゃいます。

苦手意識と歯科恐怖症の境目

歯医者が苦手という感覚と、歯科恐怖症と呼ばれる状態の間に、明確な線引きがあるわけではありません。

判断の目安となるのは、次の2点です。

ひとつは、日常生活や健康に影響が出ているかどうか。必要な受診ができない状態が続いているのであれば、苦手という言葉では説明しきれない段階に入っている可能性があります。

もうひとつは、身体的な反応を伴うかどうか。考えただけで動悸がする、実際に治療中に気分が悪くなるといった変化がある場合、心理的な負担が体に現れていることになります。

なお、歯科への恐怖や不安を抱える方は珍しくありません。成人を対象とした海外の系統的レビューでは、7万人以上を対象とした解析の結果、歯科に対する恐怖や不安を抱える人の割合はおよそ13.8パーセント、そのうち程度が強いとされる方は11.2パーセント、特に重度とされる方は2.6パーセントと報告されています。

歯科恐怖症は誰が診断するのか

歯科医院で診断名がつくものではない

歯科恐怖症は、歯科医院を受診して診断名がつけられるという性質のものではありません。

歯科医師が行うのは、恐怖の程度を把握したうえで、どのように治療を進めるかを判断することです。診断のためではなく、対応を決めるために状態を確認しています。

したがって、歯科恐怖症かどうかを確定させてから受診する必要はありません。診断がなくても、不安が強いことを伝えれば配慮を受けることができます。

精神科や心療内科が関わる場合

恐怖が歯科以外の場面にも及んでいる場合や、日常生活への影響が大きい場合には、精神科や心療内科への相談が検討されることがあります。

すでにパニック障害や不安障害の治療を受けている場合は、その旨を歯科医院に伝えてください。主治医と連携した進め方が検討されることがあります。

研究で用いられる尺度について

歯科不安の程度を測る尺度は、研究の領域でいくつか開発されています。質問への回答を点数化し、程度を評価するものです。

こうした尺度は主に調査や研究のために用いられるもので、日常の診療で常に使われるわけではありません。この記事のチェック項目も、そうした尺度をそのまま用いたものではなく、ご自身の状態を整理するための手がかりとして構成しています。

チェックの結果を受診にどう活かすか

当てはまった項目をそのまま伝える

このチェックでもっとも役立つのは、当てはまった項目を歯科医院にそのまま伝えることです。

漠然と怖いと伝えるより、どの場面で何が起きるかが具体的なほうが、対応を検討しやすくなります。削る音で体が緊張する、診療台で息苦しくなる、口を長く開けているとつらい。こうした情報があれば、そこを避ける工夫が可能になります。

口頭で説明する自信がなければ、当てはまる項目を書き出して渡していただいても構いません。この記事の画面を見せていただく形でも問題ありません。

予約の段階で伝える

受診当日ではなく、予約の段階で伝えておくという方法もあります。

電話での予約時、あるいはウェブの問い合わせフォームに書いておく。あらかじめ伝わっていれば、当日の説明の仕方や時間の取り方に反映されることがあります。

相談だけの受診から始める

治療を受けることを前提にせず、相談だけという形で受診することができます。

その日は治療をしないと事前に伝えておけば、心の準備がしやすくなります。診療台に座らず、カウンセリングスペースで話を聞くという対応をとっている歯科医院もあります。

恐怖が強い場合に選べる方法

チェックの結果、恐怖の程度が強いと感じられた場合、治療を進めるための方法がいくつかあります。

処置を短く区切る、途中で休憩を入れる、苦しくなったときの合図を決めておくといった配慮は、事前に相談しておけば対応できることが多くあります。

それでも治療を進めることが難しい場合には、鎮静法という選択肢があります。笑気吸入鎮静法は鼻からガスを吸入する方法で、注射も点滴も必要ありません。静脈内鎮静法は腕の静脈から鎮静薬を投与する方法で、うとうとした状態になり治療中の記憶が残りにくくなります。

歯科治療への強い不安があり、通常の方法では治療が困難と判断される場合、鎮静法が保険診療の対象となる可能性があります。

歯科恐怖症学会からお伝えしたいこと

セルフチェックの目的は、ご自身を診断することではありません。

多くの方が「自分は歯科恐怖症なのか、ただ苦手なだけなのか」で迷い、その迷いが相談をためらわせています。診断名がつくほどではないのに相談してよいのか、という遠慮です。

しかし、相談するために診断は必要ありません。困っているという事実があれば、それで十分です。

このチェックが役立つのは、自分の状態を言葉にする段階です。何が怖いのか、どの場面でどうなるのか。これが整理できていれば、歯科医院に伝えることができます。そして伝われば、それに応じた進め方を検討できます。

チェックの結果が軽くても重くても、次にすることは同じです。困っている内容を伝えて、相談してみることです。

歯科恐怖症学会は、歯科治療が苦手な方に対する診療のあり方を研究し、その知見を共有することを目的とした団体です。患者さんがご自身に合った方法を選ぶための判断材料を提供することを役割としています。

まとめ

歯科恐怖症のセルフチェックは、心の反応、体の反応、行動への影響という3つの観点から確認することができます。

当てはまる項目の数だけで判断する必要はありません。重要なのは、日常生活や健康に影響が出ているかどうかです。特に、痛みがあるのに受診できない、キャンセルを繰り返す、治療が中断しているといった行動への影響がある場合は、対応を検討する段階に入っていると考えられます。

動悸や発汗、吐き気といった身体的な反応を伴う場合、気持ちの問題として片づけることは適切ではありません。これらは意思でコントロールできるものではないという前提で対応を考える必要があります。

歯科恐怖症は歯科医院で診断名がつくものではなく、診断を確定させてから受診する必要もありません。不安が強いことを伝えれば、それに応じた配慮を受けることができます。

チェックで当てはまった項目は、そのまま歯科医院に伝えていただいて構いません。書き出したものを渡す形でも、この記事を見せる形でも問題ありません。

歯科恐怖症学会では、歯科治療が苦手な方に対応している歯科医師の情報を掲載しています。あわせてご覧ください。

よくある質問

歯科恐怖症はどこで診断してもらえますか

歯科医院で診断名がつけられるという性質のものではありません。歯科医師が行うのは、恐怖の程度を把握して治療の進め方を判断することです。恐怖が歯科以外の場面にも及んでいる場合や日常生活への影響が大きい場合には、精神科や心療内科への相談が検討されることがあります。

チェック項目が何個以上だと歯科恐怖症ですか

個数で判断するものではありません。項目が少なくても反応が非常に強く出る方もいれば、多く当てはまっても受診できている方もいます。日常生活や健康に影響が出ているかどうかが目安になります。

ただ苦手なだけでも相談してよいですか

相談に診断は必要ありません。困っているという事実があれば十分です。苦手という程度であっても、伝えておくことで受けられる配慮があります。

チェックの結果を歯医者に見せてもよいですか

当てはまった項目をそのまま伝えていただくのが、もっとも役立つ使い方です。書き出したものを渡す形でも、この記事の画面を見せる形でも構いません。口頭で説明する自信がない場合は、そうした方法をお使いください。

子どもの歯科恐怖症もチェックできますか

この記事のチェック項目は、ご自身の状態を確認していただくことを想定して作成しています。お子さんの場合、本人が言葉にできないことも多いため、受診を嫌がる様子や体の反応について、保護者の方から歯科医院に伝えていただくのがよいでしょう。

参考文献

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  5. Safety and efficacy of different sedation protocols in managing dental anxiety in adult patients: a randomized controlled trial.
  6. Comparison between intranasal and intravenous midazolam sedation in a dental phobia clinic.
  7. 日本歯科医師会. テーマパーク8020「歯科治療の麻酔」.

歯科恐怖症学会編集部

本記事は歯科恐怖症学会に所属する歯科医師の監修のもと制作しています。