歯科恐怖症学会の歯科医師、渡辺です。
今日のテーマは「なぜ歯医者での歯石取りは痛いのか?」です。
私自身は、歯科医師になる前も、歯科医師になってからも歯医者での歯石取りをやったことがありますが、歯石取りは痛いという経験は多かれ少なかれあります。
歯医者での歯石取りが痛い理由について解説をしていきます。
ただ、前提として、歯肉の状態がよく、歯科医師や歯科衛生士が適切な方法で歯石取りをしたら患者さんはほとんど痛みを感じない、ということを先にお伝えしておきます。
では、なぜ痛くなるのか?
歯医者での歯石取りが痛くなる、3つの理由をお伝えします。
理由1 歯石がたくさんついているから
歯石がたくさんついている。何年も歯石をとらずにたまっている。
そのため、歯肉が腫れている。歯肉炎や歯周炎という状態になっていると、少しの刺激で痛みを敏感に感じてしまうことがあります。まずは、普段の歯ブラシや歯間ブラシを行って歯肉の腫れをひかせておくことが重要になります。
理由2 手用での歯石取りを行っているから
歯石といっても、歯茎より上の歯石と、歯茎の中に隠されている歯石の2種類があります。専門用語で歯肉縁上歯石、歯肉縁下歯石、といいます。
多くの場合、歯肉縁上歯石を取るのですが、昔は、手用の器具を使って、いわゆる手作業で歯石取りを行っていました。しかし、現在では、超音波による振動を使って歯石をはじきとる、粉砕する、という方法が主流になってきています。この方法だと、強さを調整できますし、力を入れなくても容易に歯石が取れますので、それほど痛みを感じないです。
歯石取りが痛いと感じている方は、何年も前の平成や昭和の時代での経験を思い出しているのではないでしょうか?
理由3 歯石取りは痛いものだと勘違いしているから
最初にお伝えした通り、前提として、歯石取りは痛くないです。それなのに、痛いということであれば、歯石取りの最中に、歯科医師や歯科衛生士に痛いです。と手を挙げてお伝えください。そしたら、もう少し力加減を調整してくれると思います。
痛いのを我慢した方が、たくさん歯石が取れる、と勘違いしていることもあります。マッサージの時も強くやりすぎるともみ返しがくるように、歯石取りも強くやりすぎると歯茎が傷ついたり、セメント質が剥がれてしまうことがあります。
ですので、痛かったら、痛いです。と遠慮なく伝えましょう。部分的に痛いとかしみるとかっていうことがあれば、そこに局所麻酔をするのも一つの方法です。
以上、歯医者での歯石取りが痛くなる、三つの理由について解説させていただきました。
毎回痛いと歯医者に通いたくなくなりますよね。そんなことは歯科医院も患者さんも望んでいません。しっかりセルフケアをした状態で、超音波での歯石取りを行ってもらい、痛いときは遠慮なく術者にお伝えください。
参考になれば幸いです。
歯科恐怖症学会のHPでは、歯医者が怖い、行きたくない、という方へ少しでも歯医者に通いやすくなって健康になることをサポートしていければと考え、歯科医師へ勉強会などの教育活動を行ったり、患者さんへはブログやYouTubeでの情報発信をしています。