【重症度別】歯科恐怖症で歯医者に行けない方への特別な治療方法(3選)

歯科恐怖症学会の渡辺です。

歯医者が怖い・苦手・痛いのが嫌だというような方から、嘔吐反射・嘔吐恐怖症・パニック障害などの歯科恐怖症の方が、ブログ、You Tube、Podcastなどの情報発信により歯医者に通いやすくなるよう活動しています。

 

さて、今回のテーマはこちらです。

【重症度別】歯科恐怖症で歯医者に行けない方への特別な治療方法(3選)

様々な理由により歯医者に行くのが怖くなってしまう方がいます。軽度な方から重度の方まで、本当に様々です。そこで、今回は、歯科恐怖症度合いを軽度・中途・重度と分けて治療方法をお伝えします。


軽度歯科恐怖症

軽度歯科恐怖症には、【笑気麻酔】がオススメです。正確には、笑気吸入鎮静法という治療方法です。

笑気吸入鎮静法とは、笑気ガス(亜鉛化窒素ガス)を鼻から吸引しておこなう鎮静法で、「笑気麻酔」とも呼ばれます。笑気ガスを吸引することで不安や恐怖心などを軽減させるのが特徴です。

治療が終わると数分で笑気ガスが体外へ排出され、しばらく経つと完全に目覚めます。なお、笑気ガスは体内で分解されることなくそのまま排出され、副作用の報告もほとんどありません。

ただし、妊娠中の方、腸閉塞などの方には使用できません。

 

中度歯科恐怖症

中度歯科恐怖症には【静脈内鎮静法】がオススメです。

静脈内鎮静法とは、点滴によって腕の静脈から薬を注入しておこなう鎮静法で、「セデーション」とも呼ばれます。鎮静薬を注入することで不安や恐怖心を軽減させ、時間の感覚が薄れたような状態にさせるのが特徴です。

静脈内鎮静法をおこなうことで、患者さんはうっすらとした意識のなかで眠っているような状態になるため、とてもリラックスして歯科治療を受けることができます。

治療が終わった後も、薬に含まれる健忘効果により治療中のことはほとんど覚えていません。便宜的、中度歯科恐怖症の方と記載していますが、重度歯科恐怖症の方にも使えます。安全に治療を行うためには、治療を行う歯科医師に加え、歯科麻酔医が必要です。

全身麻酔とは違い、完全に意識がなくなるわけでも、自発呼吸がなくなるわけでもありません。入院も必要なく、頻回に活用できるのが特徴です。

緊張により病院にくると血圧が高くなる(白衣性高血圧)ような方も、静脈内鎮静法を行うと血圧が正常に近づきます。ただし、静脈内鎮静法は、緑内障により眼圧が上がっているような方には使えません。

 

※笑気麻酔と静脈内鎮静法の違いについてはこちらの動画も合わせてご覧下さい。

 

重度歯科恐怖症

重度歯科恐怖症には【全身麻酔】がオススメです。

全身麻酔は、麻酔薬を静脈内に投与し全身の痛み、感覚を麻痺させる方法です。完全に患者さんの意識を取り除き、呼吸も人口呼吸機を使用してコントロールします。脳の活動を抑えるので、静脈内鎮静法よりも眠りを深くして、苦痛を全く感じない状態で治療を行うことができます。

全身麻酔中は訓練された歯科麻酔医が、血圧、心拍数、心電図、酸素飽和度、体温など、常に全身状態の変化を観察しながら、それらの変化に対応した処置がとれるように全身管理を行う必要があります。

全身麻酔は、歯科治療に伴う恐怖感や不快感を全く感じることなく、完全に意識のない状態で治療を終えることができます。障害者や小児など、治療中に動いてしまい、安全に治療を行えない方や、歯科治療に対して恐怖心が強い方が対象となります。また、親知らずを同日に複数本抜歯するような時にも使われます。一度の全身麻酔で多数の虫歯治療を行えることも特徴的です。入院する場合と、日帰りする場合があります。

基本的には、入院設備の整った大学病院での治療となります。事前に血液検査や呼吸器検査、心電図など、入念な検査が必要となります。

デメリットとしては、治療後に一時的な喉の痛みや嘔吐などが起きる場合があります。

 

以上、歯科恐怖症の特別な歯科治療の方法を重症度別に解説しました。参考になれば幸いです。

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